甲子園の学習アイデア【近江高校】
今回は、甲子園の準決勝に勝ち進んだ近江高校のある滋賀県彦根市について勉強しながら、ちょっとした知識を紹介しつつ、学習アイデアを探りました。
滋賀県彦根市(近江高校)
・滋賀県東部(湖東地方)の中心都市である。
→湖東の「湖」とは勿論、琵琶湖のことである。
→琵琶湖は日本最大の面積・貯水量を誇る湖であり、約444万年前に形成された古代湖としても知られる。ラムサール条約にも登録されている。
→琵琶湖は「近畿の水瓶」と呼ばれている。
→琵琶湖には、「淡水湖沼に浮かぶ有人島」として日本唯一である沖島(近江八幡市)がある。
→琵琶湖は「淡海」「水海」などの名で古代から歌や文献に登場する。
→滋賀県民の鉄板ジョークとして「琵琶湖の水止めたろか」というものがある。これは、滋賀の琵琶湖が京都や大阪など近畿に豊富な水を供給していることを背景として、その水を止めてやるという脅し(ジョーク)である。
・「鳥人間コンテスト」や、マスコットの「ひこにゃん」が特に有名である。
→鳥人間コンテストでの最長飛行記録はなんと60kmだそうだ。凄すぎる!
人類による飛行の歴史について調べてみるのも面白い!(ライト兄弟とかリンドバーグとか)
→「ひこにゃん」は、ゆるキャラブームの火付け役となったキャラクターの一人である。
ゆるきゃらのデザインやモチーフについて調べてみよう。
→彦根藩の2代目藩主の井伊直孝が大木の下で雨宿りをしていたとき、手招きする白猫を見て近寄ると直後に大木に雷が落ちた。直孝はこの白猫のおかげで難を逃れたのだった。ひこにゃんは、この「白猫」がモチーフとなっている。
・琵琶湖に面するが、内陸部に位置していて伊吹山地が近接しているため、内陸性気候である。
→1927年2月14日に伊吹山で記録された「11m82cm」の積雪は世界記録であり、今も破られていない。
豪雪地帯となる要因について考えてみよう!気温など気候に関する世界一・日本一について調べてみよう!
→伊吹山は古くから信仰の対象となった。ヤマトタケル(日本武尊)の伝説の舞台にもなっている。
日本の山岳信仰や山の文化について調査してみよう!
・日本海側気候であるが、滋賀北部の他地域と比べると雪の量は少なく豪雪地帯にも指定されていない。
→日本海側気候は冬は雪が多く、夏は晴天が多い気候である。日本海に低気圧が発達するとフェーン現象が起こり、極端な場合には40度を超すこともある。
→日本海側気候に属する地域では、冬の豪雪を逆手にとって雪解け水を水力発電に生かしていることが多く、特に北陸地方は日本の電源地帯とも言われる。
→日本の気候区分について勉強しよう。
→日本の豪雪地帯について調べてみよう(豪雪となる要因など)。
・特産品としては鮒寿司や彦根梨などが挙げられる。
→鮒(フナ)は人間にとってとても身近な魚である。「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」という言葉があるほど、鮒釣りは基本的なものである。
→文部省唱歌の「故郷(ふるさと)」の歌詞には、「兎追おひし彼の山 小鮒釣りし彼の川」というように「鮒」が登場する。このように、鮒には日本人の故郷のイメージもある。
→鮒の生態や分布について調べてみよう。
→日本で梨が食べられ始めたのは弥生時代だそう。
→梨(ナシ)という名前は「無し」とも捉えられるので、これを嫌って「ありのみ(有りの実)」と呼ばれることがある。これを「忌み言葉」という。受験期における「落ちる」「滑る」といった言葉も「忌み言葉」であろう。
その一方で、梨(ナシ)の「無し」という意味を用いて、盗難に遭わないよう家の建材にナシを用いて「何も “無し”」、鬼門の方角にナシを植えることで「鬼門 “無し”」などと、縁起の良さを願う利用法もある。
→梨の歴史や産地について調べてみよう(二十世紀梨などの有名な梨についても)。
→日本各地の郷土料理について調べてみよう。
→においの強い食べ物について調べてみよう(シュールストレミングやキビヤックなど)。
ちなみに塾長は鮒寿司が好きで、においがくせになっています。
・絶種となってしまった彦根りんごを復活させようという試みがある。
→平安時代の文献には「利宇古宇(りうこう、りうごう)」の名で登場する。戦国時代にはリンゴが贈り物として贈られていたことが分かっている。
→1787年に多数の人々が京都御所の周囲を廻って千度参り(同一の社寺に何度も参拝する参拝方法)を行った「御所千度参り」という事件の際には、京都市中に溢れかえった3~7万人もの人々に対し後桜町天皇から約3万個ものリンゴが下賜配布されたという。
→りんごの歴史や文化面への影響について調べてみよう。
・地場産業としては、彦根バルブや彦根ファンデーションなどがある。
→バルブ(弁)は、管の途中や管の端などに結合され、中を通る流体や気体の流量・方向・圧力などを制御する装置である。
→バルブはどんな物に使われているか?考えてみよう。バルブの用途について調べてみよう。
→「ファンデーション(foundation)」という言葉自体は「基礎」や「土台」を意味する言葉であるが、それが転じて化粧品の「下地クリーム」を指すようになった。
→ファンデーションの元祖は西洋の「ドーラン」である。日本においては「おしろい」(白粉)がファンデーションの役目を担っていた。
→ファンデーションなどの化粧について調べてみよう。化粧と化粧品の歴史などについて。
→地場産業とは、「特定の地域にその立地条件を生かして定着し、特産品を製造している産業」のことである。
→日本各地の地場産業について勉強しよう!特に、北陸の地場産業について。
・伝統工芸品としては、彦根仏壇や湖東焼などが挙げられる。湖東焼は復興の試みがなされている。
→彦根市のある湖東地方は古くから仏教の盛んな地であったが、キリシタン禁止政策によって異教徒でない証拠として仏壇を設けることが一般化したことと、彦根藩主の強力な庇護を受けたことに後押しされたことなどによって発展した。
→仏壇について勉強してみよう。ついでに仏教についても勉強してみよう。
→湖東焼は井伊氏のもとで発展した陶磁器である。しかし、湖東焼を保護・奨励した井伊直弼が大老在任中に桜田門外の変で暗殺されると徐々に衰退していった。
→陶芸や陶磁器の歴史や種類について調べてみよう。
・江戸時代初期に整備された中山道の宿場町「鳥居本宿」は大いに賑わっていた。
→中山道は五街道の一つである。五街道とは江戸時代に整備された幹線道路であり、江戸の日本橋を起点に伸びる東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道で構成されている。
→中山道のルートについて調べてみよう。五街道の各街道のルートについても調べてみよう。
→宿場町について調べてみよう。日本橋についても調べてみよう。
→五街道が現代の交通や交通網に及ぼした影響について考えてみよう。
・鳥居本宿から分岐する街道として、朝鮮通信使の通行が認められていた朝鮮人街道(彦根道、京道、八幡道)がある。
→中山道が安土城下を経由しないため、織田信長が1576年に安土城を築いた際に岐阜城から安土城を経由して京都に向かう道として整備された。
→徳川家康が関ヶ原の戦いに勝利した後、上洛凱旋する際にこの道を通り、秀忠もこの道を用いて上洛した。このため縁起が良い道とされ、3代将軍の家光も上洛する際にはこの道を通り、この道に権威を持たせるために参勤交代の諸大名に通行禁止を命じた。
→将軍以外では唯一、李氏朝鮮から国書を携えて来日した朝鮮通信使の通行が認められていたため、この道は江戸前期から「朝鮮人街道」と呼ばれるようになった。
→朝鮮通信使について勉強しよう。朝鮮通信使の歴史や役割などについて。
・井伊氏の居城である彦根城の天守は国宝に指定されている。
→NHK大河ドラマ第一作『花の生涯』は、井伊直弼の生涯を描いたものである。
→井伊直弼の人生について、大老という役職について、安政の大獄について、桜田門外の変についてそれぞれ勉強してみよう!
→NHK大河ドラマとなった歴史上の人物や、作中の事件などについて調べてみよう。
・市内には、石田三成の佐和山城址がある。
→石田三成は豊臣秀吉の側近であり、豊臣政権の奉行として活躍した大名である。秀吉の死後に西軍を組織したが関ヶ原の戦いで敗れ処刑された。
→鷹狩りの帰路にあった豊臣秀吉が近江国のとある寺に立ち寄り、寺の小僧に茶を所望した際、小僧は最初に大きめの茶碗にぬるめの茶を、次に一杯目よりやや小さい茶碗にやや熱めの茶を、最後に小振りの茶碗に熱い茶を出した。まずぬるめの茶で喉を潤わせ、後の熱い茶を充分味わわせようとする小僧の細やかな心遣いに感服した秀吉は彼を家臣とした。それが後の石田三成である。という逸話が有名である。
→豊臣政権五大老(徳川家康・毛利輝元・前田利家・宇喜多秀家・上杉景勝)と五奉行(浅野長政・石田三成・増田長盛・長束正家・前田玄以)について調べてみよう。特に徳川家康について。
・彦根地方では、かつて日本全土に普及していた「カロム」(彦根カロム)というボードゲームが今でも行われている。
→ビリヤードに似ている。ちなみにビリヤードは「撞球」ともいう。このような撞球(ビリヤード)、庭球(テニス)、排球(バレーボール)、杖球(ホッケー)など、スポーツの漢字表記について調べてみるのも面白い!
→カロム(キャロム)は18世紀のインドでマハーラージャよって遊ばれるようになったという。日本には明治時代に伝わった。
→カロムの遊び方・ルールについて調べてみよう。カロムは世界中で遊ばれているので、国・地域ごとの名称やルールの差異について調べてみるのもいいね。
→世界各国・各地域のボードゲームについて調べてみよう。