ナスカの地上絵ってなに?
最近、山形大学の研究チームによって新しい「ナスカの地上絵」が発見されたというニュースがありました。人間や鳥、ヘビなどの絵が見つかったそうですね。
ということで、今回は「ナスカの地上絵」について少し説明していきたいと思います。
※この記事は厳密性よりも分かりやすさに重点を置くものですので、当該テーマについて網羅しているわけではありません。ご注意ください。
「ナスカ」ってどこ?
「ナスカ」は、南アメリカのペルーという国家にある地域だ。
以下がペルーと「ナスカの地上絵」の位置である。
「ナスカの地上絵」にはどのような絵があるの?
まず「ナスカの地上絵」には、無数の正確な直線と幾何学模様がある。幾何学模様とは、三角形や正方形といった多角形や円、直線などによって作られている模様である。また、ナスカのエリア全体には三角形も無数に描かれているという。
しかし、「ナスカの地上絵」として特に有名なのは動物の絵である。長さ90m以上のハチドリ、40m以上のクモ(蜘蛛)、30m以上のネコ、50m以上のサル、60m以上のクジラ、130m以上のコンドル、180m以上のイグアナ、280m以上のフラミンゴなどがある。
これらの地上絵は巨大なので、上空からじゃないと見えない。
「ナスカの地上絵」はいつ描かれたの?
諸説あるが、「ナスカの地上絵」は紀元前200年~紀元後800年の長期に渡って描かれたと言われている。
ちなみに、なぜ大昔に描かれた地上絵が現在に至るまで残っているのかというと、いくつかの要因があるが、その一つには、ナスカという地域が乾燥地帯だということがある。
ナスカはほとんど雨が降らない地域であるため、植物も生育せず、人間が立ち入ることも少なかった。それゆえに地上絵が保存されたという。
「ナスカの地上絵」ってどのように描かれたの?
「ナスカの地上絵」がどのように描かれたか?ということについてはいくつか説がある。今回はその中の一つの説を紹介する。原画拡大法である。
原画拡大法とは、地上絵として描きたい絵を小さく描き、その絵を相似拡大して大きな絵を描く方法である。
ナスカでは、原画拡大法によって地上絵を描く際に使ったと思われる杭や縮小図が発見されているという。
原画拡大法のおおまかな手順は以下の通りである。
三角形の地上絵を描く場合を考えよう。
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小中学生の算数・数学で登場する「相似」の知識があれば、この原画拡大法によって大きな地上絵を作図することができる。そのため、この方法を用いて実際にグラウンドにナスカの地上絵を再現してみるという授業を行う小中学校もあるそうだ。
「ナスカの地上絵」って何のために描かれたの?
「ナスカの地上絵」が何の目的で描かれたか?ということについてもいくつかの説がある。
・カレンダー説
地上絵のうちの何本かの直線が夏至と冬至のときの太陽の軌道に一致することから、農業の時期を知るためのカレンダー(暦)であるといえる。
※「夏至」(げし)は「一年で昼(日の出~日没)が最も長くなり、夜(日没~日の出)が最も短くなる日」であり、「冬至」(とうじ)は「一年で昼の時間が最も短くなり、夜が最も長くなる日」である。
しかし天文学的には、南半球では昼と夜の長さが北半球と逆になる。そのため、北半球にとっての夏至は南半球にとっての冬至であり、北半球にとっての冬至は南半球にとっての夏至である。
・雨乞い儀式説
さきほども言ったが、ナスカは雨がほとんど降らない乾燥地帯である。
古代ナスカ人が雨乞いに使っていたとされる貝殻(エクアドル産)など、たくさんの雨乞いに関する物が地上絵付近で発見されている。また、クジラなど水に関係する動物が地上絵として描かれている。これらのことから、「ナスカの地上絵」は雨乞いの儀式のために使われたといえる。
「ナスカの地上絵」が抱えている問題
「ナスカの地上絵」は2000年以上もナスカの地に残り続けた。しかし近年、地上絵の損傷が大きくなっているという。
1926年の発見以来、そして1994年の世界遺産登録以来、「ナスカの地上絵」は非常に有名な観光地となり多くの人々がナスカを訪れるようになった。
そのため、地上絵のあるエリアに人や車が侵入して地上絵が損傷するという事件も多くなったという。当然、「ナスカの地上絵」には基本的に立ち入り禁止である。
例えば、2012年には無断居住者が飼っている豚が地上絵を荒らしたことがあった。2014年には環境保護団体の「グリーンピース」が地上絵のあるエリアに侵入して再生可能エネルギーの導入を呼びかけるメッセージを設置した際に、立ち入り禁止エリアにも多くの足跡をつけた。
ペルーにはマチュピチュもある
かの有名な「マチュピチュ」はペルーにある。「ナスカの地上絵」と「マチュピチュ」は観光大国ペルーを支える大人気観光地である。