トトロの時代【昭和30年代の日本・世界】
『となりのトトロ』に描かれている時代は、昭和30年代前半だと言われている。ということで、昭和30年代(1955年~1960年)や1950年代がどのような時代だったのか?ということについて勉強していきたい。
まずは、この時代の出来事をちょっとばかり挙げてみよう。
1955年:インドネシアのバンドンでアジア・アフリカ会議開催。
ワルシャワ条約機構が結成され、冷戦激化。
ヘレン・ケラーが来日。
アメリカのカリフォルニア州でディズニーランドが開園。
第1回原水爆禁止世界大会開催。
自由党と日本民主党が合併し、自由民主党が誕生する。
自由民主党と日本社会党の二大政党制(55年体制)がはじまる(~1993年)
ローザ・パークスのモンゴメリー・バス・ボイコット事件が発生。
1956年:フルシチョフによるスターリン批判。
水俣病第一号患者公式確認。
エジプトのナセルがスエズ運河の国有化を宣言。
横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市の5市が初の政令指定都市となる。
日ソ共同宣言
日本が国際連合に加盟。
シベリア抑留の最後の引揚者を乗せた興安丸が舞鶴港に入港。
1957年:日本の南極越冬隊が南極大陸初上陸。
岸信介内閣が成立。
三大都市圏以外で初の民放テレビ局、北海道放送(HBC)テレビが札幌で開局。
コカ・コーラが日本での販売を開始。
砂川事件
東京都の人口がロンドンを抜き世界一となる。
茨城県東海村の原子力研究所で「原子の火」が灯る。
リトルロック高校事件(アメリカ公民権運動における重大事件)。
初の五千円紙幣(聖徳太子の肖像を使用)が発行される。
ソ連が人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功。
1958年:日本コカ・コーラ、炭酸飲料「ファンタ」を日本で発売。
広島市の広島平和記念公園内で「原爆の子の像」の除幕式。
ピザハット創業。
中華人民共和国が大躍進政策、人民公社運動を開始。
日清食品が世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売。
ソビエト連邦、ノヴァヤゼムリャで核実験実施。
新1万円札(聖徳太子像)が発行される。
東京タワー完成。
1959年:キューバ革命
シャルル・ド・ゴールがフランス初代大統領となる。
昭和基地に置き去りにしたタロとジロの生存を確認する。
バービー人形発売。
チベット蜂起
「週刊文春」(文藝春秋)が創刊。
皇太子明仁親王と正田美智子が結婚。ミッチー・ブームが最高潮に。
1964年夏季オリンピックの開催地が東京に決定。
タンザニアでアウストラロピテクスの頭蓋骨を発見。
ソ連の月探査機ルナ2号が月に衝突し、初めて月面に到達した人工物となる。
伊勢湾台風
『おかあさんといっしょ』が放送開始。
コンゴで、人類初のHIV感染による死亡者が出る。
1960年:カメルーンがフランスから独立(「アフリカの年」での独立第一号)。
映画『ベン・ハー』が日本で公開(天皇・皇后が招かれた日本映画史上初の天覧上映)
M⒐5のチリ地震が発生し、翌日日本でも津波で大きな被害。
改定安保条約批准阻止の全学連7000人が国会に突入。
スリランカで世界初の女性首相が誕生する。
コンゴ共和国がベルギーから独立。
「クレラップ」が発売される。
第1次池田勇人内閣が成立し、厚生大臣に中山マサが就任(初の女性大臣)。
日本でカラーテレビの本放送が開始される。
石油輸出国機構(OPEC)結成。
ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが大統領選挙史上初のテレビ討論を行う。
浅沼稲次郎暗殺事件
ベルマーク運動が始まる。
池田勇人首相が所得倍増計画を発表する。
では、この時代に関する情報や知識を、雑多ではあるが挙げてみる。
・1950年代の日本の首相は、吉田茂(~1954年)、鳩山一郎(1954~1956年)、石橋湛山(1956~1957年)、岸信介(1957~1960年)である。
・経済企画庁(2001年に内閣府に統合)による1956年経済白書の「もはや戦後ではない」という文言は流行語になった。
・1950年代初頭の朝鮮特需(朝鮮戦争によってアメリカ軍から日本への物資・サービス発注が増加し、結果的に日本が戦後不況から脱した)をきっかけとして、1954年12月~1957年6月に「神武景気」という好景気が発生し、高度経済成長期(~1973年オイルショック)が始まる。
・1959年~1960年には、日米安全保障条約(安保条約)の改定に反対する国会議員、市民、活動家、学生、労働者などによって安保闘争が展開され、激化した。
・1950年代には、ジャズ喫茶や歌声喫茶(客がみんなで歌うことができる喫茶)が流行した。
・1950年代には、日本初のスーパーマーケットである紀ノ国屋がオープンした。
・1954年には『ゴジラ』の第一作が公開された。
・1958年には、日本初の国産カラーテレビアニメである『もぐらのアバンチュール』が放送されている。
・1950年代は、日本・ドイツ・イタリアなど旧枢軸国を含む西側諸国で、復興と経済発展が進展し、都市や郊外では1920年代以来の消費主義的な生活様式が復活しつつあるという時代である。
・1950年代は、日本の「逆コース」(戦後の民主化・非軍事化に逆行する動き)に象徴されるように、保守化への回帰が見られたが、その反動によってカウンター・カルチャー(対抗文化)としてのユース・カルチャー(若者文化)が大きく広がった。
・1950年代は、朝鮮戦争による東西陣営の対立(ソ連陣営vs.アメリカ陣営)が深まり、軍備拡張競争や核兵器開発競争、宇宙開発競争が起こった。また、アメリカを中心に西側諸国では、共産主義や共産党関係者・支持者を追放する「赤狩り」(マッカーシズム)が精力的に行われた。