エポニム
エポニムとは、人名に由来する言葉のことです。例えば、発見者の名前から名付けられた「ピタゴラスの定理」だとか「ハレー彗星」だとか「ニュートン(N)」がエポニムです。「ニュートン」という単位は、もはや名前がそのまま単位名になっていますね。
この世にはたくさんのエポニムがあります。何かを発見したり開発したり、偉人や有名人の名前を拝借したり、協力者や恩人の名前を付けたり、などなどエポニムには色々あります。
では、見ていきましょう。
※以下の語源に関しては諸説あるので、その点にご注意ください。
・アメリカ
現在の南北アメリカを探検した探検家・地理学者であり、アメリカ大陸が新大陸であることを提唱したアメリゴ・ヴェスプッチに由来する。「アメリカ」は「アメリゴの」という意味である。
ちなみに、ヴェスプッチよりも先にアメリカ大陸に到達しているクリストファー・コロンブスが名前の由来となっていないのは、彼がアメリカ大陸をインドであると誤認していたからだそう。とはいえ、アメリカ州の古称・別名であり、南米の国名にもなっている「コロンビア」は「コロンブスの地(国)」という意味であり、コロンブスの名に由来している。
・フレミング左手の法則
磁界の中にある導体に電流を流すと導体に力が加わるが、そのときの「力」・「磁界」・「電流」のそれぞれの方向を左手の指で表現する方法である。考案者のジョン・フレミングの名に由来している。ちなみに「フレミング右手の法則」もある。
・テディベア
第26代アメリカ大統領(任 1901~1909年)のセオドア・ローズヴェルトの愛称「テディ」に由来する。セオドア・ローズヴェルトは狩猟の最中に瀕死の子熊に遭遇しますが、狩猟精神に反するとしてその子熊を仕留めることはなかった。この話が新聞記事として掲載されると、それをヒントにニューヨークのおもちゃ屋がクマのぬいぐるみに、ローズヴェルトの愛称である「テディ」と名付けた。
・シルエット
「シルエット」は一般的に「物の輪郭」という意味で使われている言葉だが、「影絵」という意味もある。この言葉は、フランスのルイ15世の下で財務大臣を務めたエティエンヌ・ド・シルエットの名に由来する。当時のフランスは七年戦争での戦費がかさんだことなどにより財政難に陥っていたため、エティエンヌは倹約的な政策を実施した。その一環で彼は、高価な絵の具をたくさん使わずに済む、影絵の肖像画を奨励したので、人々は影絵を指して「シルエット」と呼ぶようになった。ちなみに、当時の「シルエット」という言葉には「安上がり」という意味も含まれていたんだそう。