意外な区切りの言葉②

カメハメハは「カ・メハメハ」

 「カメハメハ」(Kamehameha)はハワイ王国の国王の名前であり、ハワイ諸島を初めて統一したカメハメハ1世(カメハメハ大王)(1758年~1819年)が特に有名である。

 日本では、『ドラゴンボール』のかめはめ波、童謡の『南の島のハメハメハ大王』によってカメハメハ(ハメハメハ)の名はよく知られている。

 ハワイ語の「カ」(ka)は英語でいう “the” のような定冠詞であり、ハワイ語の「メハメハ」(mehameha)は「孤独」「寂しさ」「静けさ」という意味である。「カ・メハメハ」は「孤独な人」「静かな人」という意味になる。

ツタンカーメンは「トゥト・アンク・アメン」

 ツタンカーメン(紀元前1341年頃~紀元前1323年頃)は、古代エジプトのファラオである。1922年にハワード・カーターにより発掘された彼の黄金のマスクはあまりにも有名である。

 一般的に「ツタンカーメン」と呼ばれるが、より厳密にいうなら「トゥトアンクアメン」である。古代エジプト語の「トゥト」は「似姿」を、「アンク」は「生ける」を、「アメン」は「アメン神」をそれぞれ意味する。つまり「トゥト・アンク・アメン」は「アメン神の生ける似姿」という意味になり、「トゥト・アンク・アメン」という区切りになる。

 ちなみに、アメン神とは古代エジプトで信仰されていた神である。当時のエジプトには、アメン神の他にも信仰されていた神がいた。つまり、当時のエジプトは多神教だった。

シャングリラは「シャングリ・ラ」

 「シャングリラ」とは、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』(1933年)に登場するユートピア(理想郷)であり、「理想郷」「桃源郷」の代名詞にもなっている。

 シャングリラの英語表記は “Shangri-La” であることから、この言葉の区切りは「シャングリ・ラ」だといえる。

 架空の地名なのでたしかなことは言えないが、”Shangri-La” は、チベット語の “Shang”(シャン地方) + “ri”(山) + “La”(峠)から成り、「シャンの山の峠」を意味するとされる。

 また、インド仏教・密教の経典の一つである『時輪タントラ』(カーラチャクラ・タントラ)に登場する伝説上の仏教王国「シャンバラ」がシャングリラのモデルになったともいわれる。

ニュージーランドは「ニュー・ジーランド」

 ニュージーランドの英語表記は “New Zealand” であり「新しいジーランド」を意味することから、区切りは「ニュー・ジーランド」となる。

 「ジーランド」とは、オランダの「ゼーラント州」のことである。後に「ニュージーランド」となる島々に最初に到達したヨーロッパ人はアベル・タスマン(1603年~1659年)などのオランダ人であったことから、オランダのゼーラントにちなんでラテン語で “Nova Zeelandia” と名付けられ、それが最終的に英語化し “New Zealand” となった。

 タスマンの名前は、自身がヨーロッパ人として初めて到達したオーストラリアの「タスマニア島」の由来にもなっている。

 ちなみに、ニュージーランドの先住民であるマオリは自身の土地を「アオテアロア」(Aotearoa)(白く長い雲のたなびく地)と呼んでいて、近年には、国名を「アオテアロア」にするべきとの意見もマオリの中から出ているという。