『天空の城ラピュタ』の学習アイデア【聖書と名前】

 『天空の城ラピュタ』に関する事柄の中で塾長が「学習に使えそうだなぁ」と思ったアイデアをゆるく紹介していきます。本題と関係のないことも結構言っていますが、先生の授業中の脱線話を聞く感じで見てください。

「ゴリアテ」の由来

・天空の城ラピュタを捜索するために派遣された政府軍の飛行戦艦「ゴリアテ」の名は、旧約聖書に登場する同名の人物に由来する。

・旧約聖書に登場するペリシテ人のゴリアテは、身長が3mくらいある超巨漢の戦士である。しかし、当時羊飼い少年だった小柄なダビデ(後のイスラエル王)に一騎打ちの対決で倒されたという。この一件は、「弱者が強者に勝つ」「小さい者が大きい者に勝つ」ことの比喩としてよく用いられる。

→聖書内の登場人物や出来事に由来する名前は結構多いような気がします。「ゴリアテ」の名は第二次世界大戦でドイツ軍が使用した兵器の名にもなっています。「ダビデ(David, Davide)」の名は、デイビッド(David)という人名の由来となっていますね。同じく旧約聖書に由来する人名としては、ジェームズ(James)やマイケル(Michael)などが挙げられます。

→「ダビデ」は ”David” という人名の由来となっていますが、上述の通り英語圏では「デイビッド」、スペイン語圏(スペイン、ブラジル以外の南米)やポルトガル語圏(ポルトガル、ブラジル)では「ダビド」と読みます。「デイビッド」はよく耳にする人名ですね。一方、元スペイン代表のダビド・ビジャやダビド・シルバ、元ブラジル代表のダビド・ルイスなど、「ダビド」という人名は、サッカー好きにとっては馴染み深い名前ですね。

→Jamesは英語圏だと「ジェームズ」、スペイン語圏だと「ハメス」と読みます。サッカーコロンビア代表のハメス・ロドリゲスが有名ですね。

→Michealは英語圏だと「マイケル」、ドイツ語圏だと「ミヒャエル」と読みます。サッカー元ドイツ代表のミヒャエル・バラック、F1ドライバーのミヒャエル・シューマッハが有名ですね。

 また、ポルトガル圏だと「ミゲル(Miguel)」と読みます。イエズス会の天正遣欧少年使節の一員である千々石ミゲル、消臭力のCMに出演していたミゲル君が有名ですね。

 他にもロシア語圏では「ミハイル」(ミハイル・ゴルバチョフなどが有名)、フランス語圏では「ミシェル」(ミシェル・ド・ノストラダムス、ミシェル・フーコー、ミシェル・プラティニなどが有名)と読みます。

→聖書の関連でいえば、新約聖書には四つの福音書(マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書)が収録されていますが、この「福音」という語は「良い知らせ」を意味し、古典ギリシア語では「エウアンゲリオン(euangelion)」といいます。もうお分かりでしょうが、『新世紀エヴァンゲリオン (Neon Genesis EVANGELION)』の由来となっているのです!

 大統領選挙などアメリカ政治の文脈においてよく言及される「福音派」(聖書の内容に忠実に則して、積極的な伝道に努めることを重視する人々)は “Evangelical” と呼ばれる。

 ちなみに、”euangelion” という語の構成は「eu(良い)+angelion(知らせ)」となっているそうで、特に後者の “angelion” (知らせ) は “angelos” (使者・伝令) という語からきていて、”angel” (天使) の語は、この “angelos” に由来するそうです。

余談:平和を守るための「バルス」?

・お馴染みの滅びの呪文「バルス」の由来・語源は定かではないが、「バルス」はトルコ語で「平和」を意味するそうだ。

→「バルス」はラピュタ語で「閉じよ」です。天空の城ラピュタが「閉じた」結果、ムスカの野望は絶たれ地上はひとまずの「平和」を保った。……というのは、こじつけです。

→ちなみにトルコ語でいうと、「ピラフ」「ヨーグルト」「シャーベット」はトルコ語由来の言葉だそうです。近年お店が増えている「ケバブ」もトルコ語ですね。

→語源を調べてみると、古から築かれてきた人々のグローバル・ネットワークの豊かさを知れて勉強になりますよね。人類って昔から異なる言語・異なる文化・異なる人種同士で相互交流してたんだなぁとしみじみ感じたりもします。外来語や借用語(他の言語から取り入れられて日常用語化した言葉)の勉強は「楽しい」の宝庫ですので、オススメです!