「氷雪気候」を勉強する⑺ アザラシ編

氷雪気候

・氷雪気候は、ケッペンの気候区分上の①寒帯に属している。

・南極やグリーンランドの内陸部、シベリアの極北部、北米大陸の北岸、ヒマラヤやアルプスの高山に分布している。

・樹木の生育を許さない寒帯気候のうちでも特に寒さが厳しく,月の平均気温が一年中 0℃以上にならない。

・②永久凍土という土壌に特徴づけられる。

・一年間を通して氷と雪に閉ざされている。降雪量が降水量を上回りどんどん積雪が増していくことで、その積雪の圧力によって雪が氷となり、③氷河が形成される。

・南極圏(南緯66度33分以南)付近では④白夜が12月、⑤極夜が6月頃に起こる。北極圏(北緯66度33分以北)付近ではその真逆で、白夜が6月、極夜は12月に起こる。

・雪が降っていなくても頻繁に⑥ブリザードが起こる。

・植物が自生せず、人間も居住困難な気候(⑦アネクメーネ)である。

・アネクメーネであるとはいえ、各国の観測基地は設置されている(アメリカのマクマード基地やアムンゼン・スコット基地、ロシアのボストーク基地、日本の昭和基地など)。

・一部の地域には、⑧ホッキョクグマ、⑨ペンギン、⑩アザラシなどの野生動物が生息している。

・近年の地球温暖化により南極や北極の氷床・氷河の融解が加速することで、氷雪気候下で生きる動物の生息環境が変化し、海面上昇が起こることも示されている。

⑩アザラシ

・体重50kgのワモンアザラシから、5000kgに及ぶミナミゾウアザラシまで、様々な体格のものがいる。体格については多くの種で雌雄にそれほど顕著な差はないが、ミナミゾウアザラシではオスの体重はメスの10倍になる。逆にモンクアザラシやヒョウアザラシではメスのほうがオスより大きい。

・一夫一妻型夫婦のゴマフアザラシのような種がいる一方、ミナミゾウアザラシなど一夫多妻型夫婦やハーレムを作る種もいる。

→一夫一妻の夫婦形態をとる動物には他にどのようなものがいるか?調べてみよう。一夫多妻の夫婦形態をとる動物についても調べてみよう。また、一夫一妻と一夫多妻にはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるか考えてみよう。調べてみよう。

→人間社会において一夫多妻制が認められている国・地域はどこか?一夫多妻制を認めている宗教にはどのようなものがあるか?調べてみよう。

・アザラシは陸上や海氷上で出産する。また、一産一仔で妊娠期間はほとんどの種で約一年である。

→一回の出産で一つの子を産む「一産一仔」の動物にはどのようなものがあるか?調べてみよう。

→動物ごとの妊娠期間の違いについて調べてみよう。妊娠期間が長い動物と短い動物のそれぞれについて調べてみよう。ゾウやハツカネズミについて調べてみよう。

・陸上に比べて餌(主に魚類、甲殻類、軟体動物など)の豊富な海での適応が進んだため、北極海、南極海はもとより、中緯度、低緯度の海洋、内湾、河口、湖まで世界の海洋の至る所に生活圏を広げている。

→世界中に生息している動物にはどのようなものがいるか?調べてみよう。アリ、ネズミ、ハトなどについて調べてみよう。我々にとって身近な動物について調べてみよう。

・・日本近海では北海道を中心にゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、ゼニガタアザラシ、クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシの5種のアザラシが生息している。とはいえ、2002年に東京都の多摩川に出現したアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」のようなアザラシの個体も少数いる。

→「タマちゃん」は2002年の流行語大賞の年間大賞に選ばれている。

 通常の生息区域の外に出没する動物について調べてみよう。それらの動物はなぜ通常の生息区域の外に出たのか?考えてみよう。

 また、人間と動物のそれぞれの生息区域の関係について考えてみよう。北海道では街に出没するクマの事案を耳にすることは多いが、クマはなぜ街に出没するのか?考えてみよう。

・首は短く、四肢には5本指があり、指の間には水かきが付きヒレに変化している。

→5本指のそれぞれの指の名前の由来について調べてみよう。人差し指や薬指について調べてみよう。また、それぞれの指は英語で何と言うか?調べてみよう。

 それぞれの指を用いる表現(ボディランゲージ)について調べてみよう。親指を立てて「肯定」「良い状態」を表すサムズアップなど。

→「指」という字が含まれる言葉・慣用句について調べてみよう。

→指を用いる遊び、指を用いて音を鳴らす行為について調べてみよう。

・アザラシは優れた潜水能力を持つ。キタゾウアザラシは1500 mまで潜水した記録がある。鼻腔を閉じることができ、肺の中の空気をほとんど全て吐き出すことによって高い水圧に耐えられる。さらにタンパク質のミオグロビンにより酸素を筋肉に多く保持できるなど、潜水に適応した特徴を持つ。

→人間が潜水する際に気を付けなければならないこととして、どのようなものがあるか?また、それらを解決するために人間は潜水の際にどのような訓練・手順を経る必要があり、どのような装備を身に付ける必要があるか?考えてみよう。調べてみよう。スキューバダイビングや飽和潜水について調べてみよう。

→人間の息止めの世界記録は24分3秒だそう。すごすぎる!

→呼吸において肺はどのような役割を担っているか?肺は何をしている器官なのか?調べてみよう。人体において酸素と二酸化炭素の辿るルートについて調べてみよう。

→タンパク質が生命にとってどのような存在であるか?調べてみよう。我々人間は何でできているか?考えてみよう。調べてみよう。

→ミオグロビンは、代謝に使われるまで酸素分子を筋肉中に貯蔵するという役割を担うタンパク質である。アザラシ・クジラ・イルカなどの潜水する哺乳類の筋肉には特に多くのミオグロビンが含まれている。ちなみに、ミオグロビンによって動物の筋肉は赤い色になっている。

・アザラシはホッキョクグマの主食となっており、その食料の9割をアザラシが占める。ホッキョクグマの嗅覚は優れており、10kmくらい離れた場所からでもアザラシの匂いを嗅ぎつけることができるとする説もある。

→嗅覚が優れている動物にはどのようなものがいるか?調べてみよう。

 嗅覚が優れている動物の中には人間社会において何らかの職務を担っているものがいる。何の動物がどのような職務を担っているか?考えてみよう。調べてみよう。

・アザラシを含む鰭脚(ききゃく)類の眼球は陸生の食肉類に比べて大きい。南半球ではロスアザラシ、北半球ではクラカケアザラシが特に大きい。網膜には色を識別する錐体がなく、あるのは明るさを感じる桿体だけなので彼らに色の概念はない。

→生物はどのようなメカニズムで「ものを見る」のか?考えてみよう。調べてみよう。

 色とは何か?考えてみよう。調べてみよう。また、動物はどのようなメカニズムで色を認識・識別しているのか?調べてみよう。

・北極や南極の暗い水中で魚を獲らなければならない種もいるため、視覚以外の感覚も鋭い。ゴマフアザラシなどのいくつかの種では、水中でクリック音を発してエコロケーション(反響定位)を行っている。

→エコーロケーション(反響定位)とは、音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知ることである。

 エコーロケーションを行う動物にはどのようなものがいるか?調べてみよう。また、それらの動物がエコーロケーションを行うようになった理由を考えてみよう。それらの動物の生息区域で使えない感覚は何か?逆にそこで使える感覚は何か?考えてみよう。

・アザラシの母親が自分の子供を見分けるための重要な情報は匂いであると言われている。

→「匂い」と「臭い」の違いは何か?考えてみよう。それぞれの「におい」の用法について考え、例文を作ってみよう。

・アザラシは後肢が発達しており泳ぐ際には、前肢は体側に添えるのみで左右の後肢を交互に動かして推進力を得る。陸上では全身を使って芋虫のごとく這うようにして動く。

→逆に、アシカは後肢に比較して前肢が発達している。泳ぐ際の主たる推進力は前肢から得て左右の後肢を同調させて泳ぐ。

・日本では古くからアザラシ猟が行われてきた。北海道のアイヌや開拓期の入植者も利用した。皮は水濡れに強く、馬の手綱やかんじきの紐によく使われた。また、脂肪は照明用に燃やされた。

→馬具や乗馬など馬に由来する言葉にはどのようなものがあるか?考えてみよう。調べてみよう。「埒(らち)が明かない」「拍車がかかる」「ばてる」「羽目を外す」などの言葉について調べてみよう。

→かんじきとは、雪や泥の上を沈まずに歩くために、靴やわらじの下に装着する道具である。装着すると、雪や泥の面との接地面積が広がり体重が分散されて沈みにくくなる。

・昭和期にはアザラシの皮がスキーシールやかばんの材料になったり、脂肪から石鹸が作られたりした。昭和30年代以降は土産物の革製品の材料として多く捕獲された。この頃になると猟も大規模になり、北海道近海からサハリン沖にまで及んだ。最盛期の年間捕獲頭数は2500頭ほどと推定されている。

→シールとは、スキー板の裏に付ける滑り止めのシートである。スキーを履いて斜面を登る際に役立つ。名前の由来は、「アザラシ」を意味する英語 “seal” (シール)である。

→「かばん」の語源を調べてみよう。

→石鹸(せっけん)は我々にとってとても身近なものであるだけでなく、紀元前3000年からの長い歴史を持っているものでもある。おまけに化学に関する知見もふんだんに含まれているものである。石鹸をテーマに濃密な勉強・授業を作れそうだなぁ。みんなも、石鹸について勉強・調査してみよう!

・環境保護の流れが盛んになりファッションの材料としての需要の低迷、ソ連の200海里経済水域宣言、輸入アザラシ皮の流入などにより、昭和50年代には商業的なアザラシ猟は終焉した。

→近年の環境保護運動や動物保護運動、環境保護や動物保護に関する条約・法律について調べてみよう。20世紀から21世紀にかけての人間と動物の関係において変わったことと変わらなかったことは何か?考えてみよう。

→1976年にソビエト連邦(ソ連)が200海里経済(漁業)水域を宣言・設定した。200海里経済水域が設定されたことで領土の沿岸から200海里(=約370km)内の水域で外国船が勝手に漁をしてはならないことになり、日本の漁業は方針転換を迫られることとなった。

 排他的経済水域(Exclusive Economic Zone EEZ)について調べてみよう。また、排他的経済水域の面積ランキングを調べてみよう。世界一大きな排他的経済水域を有すのはどの国か?日本の順位は何位か?

・現在では北海道の限られた地域で有害獣駆除を目的としてわずかな数が捕獲されているのみである。

→害獣として駆除対象となっている動物にはどのようなものがいるか?考えてみよう。調べてみよう。また、人間はそれらの動物をなぜ害獣として駆除するのか?考えてみよう。

・北極圏にはアザラシを食料として狩る民族が現在も存在する。アラスカなどの北極圏を拠点とするエスキモーにとってアザラシの肉は貴重なタンパク源であり、脂肪分を多量に含むアザラシ肉は極地環境で多く消費される大量のカロリーを補う優れた食物である。キビヤックなどの民族独自のアザラシ料理が存在する。

→近年、将来の食糧危機に際して肉に代わり得るタンパク源として昆虫食が注目されている。

 現在の世界で起こっている食糧危機について調べてみよう。また、それらの食糧危機の原因となっている事象とは何か?できるだけたくさん事象を挙げながら考えてみよう。

 近年、人類の肉食に関するいくつかの問題が提起されてきているが、それらはどのような問題であるか?考えてみよう。調べてみよう。肉食の賛成者と反対者、それぞれの意見とその理由について考え、彼らの議論について調べてみよう。

 食文化としての昆虫食がある地域について調べてみよう。長野県の昆虫食について調べてみよう。東アジアや東南アジアの昆虫食についても調べてみよう。

・カナダなどではアザラシの子供が商業狩猟の対象となっており、人間はアザラシの子供を棍棒で殴り殺して上質の毛皮を得る。

→人間が毛皮として重宝した動物にはどのようなものがいるか?調べてみよう。

・「アザラシ」(海豹)は春の季語である。

→春の季語には他にどのようなものがあるか?調べてみよう。

→季語となっている動物には他にどのようなものがいるか?調べてみよう。