「氷雪気候」を勉強する⑹ ペンギン編
氷雪気候
・氷雪気候は、ケッペンの気候区分上の①寒帯に属している。
・南極やグリーンランドの内陸部、シベリアの極北部、北米大陸の北岸、ヒマラヤやアルプスの高山に分布している。
・樹木の生育を許さない寒帯気候のうちでも特に寒さが厳しく,月の平均気温が一年中 0℃以上にならない。
・②永久凍土という土壌に特徴づけられる。
・一年間を通して氷と雪に閉ざされている。降雪量が降水量を上回りどんどん積雪が増していくことで、その積雪の圧力によって雪が氷となり、③氷河が形成される。
・南極圏(南緯66度33分以南)付近では④白夜が12月、⑤極夜が6月頃に起こる。北極圏(北緯66度33分以北)付近ではその真逆で、白夜が6月、極夜は12月に起こる。
・雪が降っていなくても頻繁に⑥ブリザードが起こる。
・植物が自生せず、人間も居住困難な気候(⑦アネクメーネ)である。
・アネクメーネであるとはいえ、各国の観測基地は設置されている(アメリカのマクマード基地やアムンゼン・スコット基地、ロシアのボストーク基地、日本の昭和基地など)。
・一部の地域には、⑧ホッキョクグマ、⑨ペンギン、アザラシなどの野生動物が生息している。
・近年の地球温暖化により南極や北極の氷床・氷河の融解が加速することで、氷雪気候下で生きる動物の生息環境が変化し、海面上昇が起こることも示されている。
⑨ペンギン
・主に南半球に生息する海鳥であり、南極半島と南極大陸の沿岸には、特に多くのペンギンが生息している。また、オーストラリア南部やニュージーランドの島嶼、アフリカ南部・南西海岸の島、南アメリカ南端のパタゴニア、ペルーやチリ沿岸にも生息する。分布の最北は赤道付近の熱帯ガラパゴス諸島である。
→ガラパゴス諸島は、エクアドル西岸から約1000km西の太平洋上にあるエクアドル領の島群であり、世界遺産にも登録されている。島名は、スペイン語で「ゾウガメ」を意味する “galápago” に由来している。チャールズ・ダーウィンがガラパゴス諸島での観察調査において「進化論」の着想を得たことでも知られる。
各大陸とは隔絶された独自の進化を遂げた固有種が多く存在することで知られていて、ガラパゴスゾウガメやガラパゴスペンギン、ガラパゴスイグアナなどが有名である。
ガラパゴス諸島の生物進化のように、周囲とはかけ離れた独自の進化をすることを「ガラパゴス化」という。特にIT技術やインフラ、サービスなどが国際規格とは違う方向で発達することをいう。日本の携帯電話など、高度で多機能であるが特殊化されていて世界市場では売りにくいものに対してよく使われる言葉である。ちなみに、「ガラケー(ガラパゴス・ケータイ)」とは、世界標準とは異なる進化をして、日本でのサービスを使いやすく設計した携帯電話のことである。
→地名が由来となっている言葉について調べてみよう。
・南極大陸で繁殖するのは主に、コウテイペンギンとアデリーペンギンの2種である。
・ジェンツーペンギン・マカロニペンギン・ヒゲペンギンの3種は、南極大陸の中でも比較的温暖な南極半島にも繁殖地があるが、主な繁殖地は南極周辺の島である。
・最も低緯度に住むのは、赤道直下のガラパゴス諸島に生息するガラパゴスペンギンであり、その生息域は赤道を挟み僅かに北半球にはみ出ている。
→ガラパゴス諸島の位置を地図で確認してみよう。
→ガラパゴス諸島はエクアドルの領土である。ちなみに、「エクアドル」はスペイン語で「赤道」を意味する。勿論、エクアドルは赤道直下の国である。
各国の国名の由来について調べてみよう。
・現生ペンギンの最小種はコビトペンギンであり、体長は約40cmである。一方で現生最大種はコウテイペンギンであり、体長100~130cmに達する。
・鳥類の多くが飛翔のために使う翼だが、ペンギンの翼はひれ状の「フリッパー」と化しており、水中の遊泳にのみ使われる。飛翔能力は失われている。
→「フリッパー」(英:flipper)は「ひれ状の足」を意味し、転じて「ダイビング用の足ひれ」も意味する。またアメリカでは、転売目的で不動産や株を買う人のことを「フリッパー」と言ったりする。
→ペンギンが泳いでいる姿を動画などで見てみよう。
→鳥の翼について調べてみよう。航空機の翼の構造についても調べてみよう。
→鳥類以外で翼を持っている生物について調べてみよう。特に、滑空するための航空機的な翼(羽ばたかない翼)を持つ者について。ムササビやモモンガなど。
→翼がついている神様について調べてみよう。
・ひれ状の翼を用いて潜水し、魚類や動物プランクトン、イカ類を捕えて食べる。
→プランクトンは、運動能力が全く無く(もしくは非常に弱く)、水中や水面を漂っている生物の総称である。「浮遊生物」とも呼ばれる。ケイソウや小型甲殻類、クラゲ、魚類の幼生など、様々な分類群に属する生物がプランクトンに含まれる。あくまでも「浮遊者」という概念なので、大型の生物でもクラゲなど遊泳能力が非常に低いものもプランクトンに含まれる。
「プランクトン」の名はギリシア語の「放浪させられる者」という意味の言葉に由来する。
微小なものが多く、生態系において生態ピラミッドの下層を構成する重要な生物である。
成長に従って遊泳生物(ネクトン)とプランクトンとの間を行き来する生物も存在する。
→プランクトンに含まれる生物について調べてみよう。
→動物プランクトンと植物プランクトンについて調べてみよう。
・潜水適応した鳥であるため、地上における敏捷性はなく、直立姿勢で歩いたり跳ねたりして移動する。氷上では胸腹部をつけて腹這いになって滑るように移動(=トボガン)することもある。
→「トボガン」とは、カナダのエスキモー民族であるイヌイットや、インディアン部族のクリー族が使う「トボガンぞり」というソリに由来する。ちなみに、トボガンぞりは雪上遊具でもあり、冬季オリンピックの種目にもなっているスケルトンの元となった。
→オリンピックの種目となっているスポーツ競技の歴史について調べてみよう。それらの競技が何から生まれたものなのか?という視点を持ちながら。
・集団で繁殖する種の雛は、親鳥が巣を離れるようになると、雛も巣を離れて雛だけの密集した集合「クレイシュ」(クレイシ)を形成する。特に、南極圏で繁殖するエンペラーペンギン、アデリーペンギンなどで大きな集合が形成される。「クレイシュ」を形成することによってオオトウゾクカモメやオオフルマカモメなどの捕食者から共同で身を守り、寒さやブリザードからお互いを守っていると考えられている。親鳥はクレイシュの周囲に来て鳴き声を発して、自分の雛を呼び出して給餌する。
→「クレイシュ」(クレイシ)は、フランス語で「保育所」を意味する。この用語は、コロニー(個体群)、特に鳥類のコロニーの中で他の個体の子孫を養い育てる行動を指す。
ペンギンだけでなく、カナダガンやホンケワダガモやツクシガモなどもクレイシュを形成する。また、爬虫類ではワニの一種であるメガネカイマンや、ライオンもクレイシュを形成する。
フランス語に由来する言葉について調べてみよう。
・陸上で繁殖する。1個〜3個の卵を産みオスとメスで抱卵をする。コウテイペンギンの雄は卵を足の上にのせてしばしば零下40℃以下にまで下がる暗黒の酷寒の中で、絶食して抱卵を続ける。雌は海で越冬するが、産卵から7、8週間後になると戻ってきて雄と抱卵を交替し、孵化した雛の世話をする。
→いろいろな生物の産卵や育児の方法について調べてみよう。特に、産卵・育児方法の生物間の差異と共通点について意識しながら。
・動物園や水族館での繁殖技術が進んだこともあり、現在世界で飼われているペンギンの1/4が日本にいると言われている。日中国交正常化に際してジャイアントパンダが中国より送られてきた返礼として、ニホンカモシカとケープペンギンが日本から中国に送られた。
→動物園や水族館の歴史について調べてみよう。また、動物の保護活動における動物園や水族館の役割についても調べてみよう。
→今年(2022年)は日中国交正常化50周年だそうです。日中国交正常化は、1972年に日本と中華人民共和国が日中共同声明を発表して国交を結んだことを指す。
日本と中国の関係史について勉強してみよう。
→ニホンカモシカは特別天然記念物に指定されている。
日本の特別天然記念物に指定されているものについて調べてみよう。
・南極・亜南極のペンギンの飼育には低温にする設備が必要だが、フンボルトペンギンやマゼランペンギン、ケープペンギンなどの温帯のペンギンは氷雪を好まず屋外飼育が可能である。
・ゴミの投棄や船の事故による石油流出など、様々な海洋汚染がペンギンの脅威となっている。特に喜望峰周辺の海域やパタゴニアなど、重要な航路に面した海域や油田地帯に接した海域において深刻である。
→今までに起きた石油流出事故について調べてみよう。
→喜望峰とは、南アフリカ共和国のケープタウンにある岬である。アフリカ最南端であるとよく誤解されるが、そうではない。アフリカ最南端はアガラス岬である。
喜望峰の歴史について調べてみよう。喜望峰を発見したバルトロメウ・ディアスなどについて。また、喜望峰ルートの世界史的な意義について考えてみよう。このルート(航路)の発見は世界にどのような変化をもたらしたか?という視点から。
・近年、生息域の温暖化により餌のオキアミの繁殖域となる海上の氷の激減、洪水による巣の浸水などで、生息数が減っている種もある。
・ペンギン類はかつて人間の食料として捕らえられて搾った油も利用された。卵も採集され食料となった。このような多量の捕殺によって温暖な地方に生息するペンギンの数が特に減少した。
→ペンギン・オイル(ペンギン油)は、皮なめしや灯油・石鹸の材料としても使われていたという。
ペンギン・オイル産業は1930年代までの間に衰退・終焉し、20世紀に入るとペンギンなどの南半球の海獣類を保護するための条約・法律が次々と制定された。今でもフォークランド諸島などでは、ペンギンから油を採取するための釜を据え付けた作業小屋が島のあちこちに残っているらしい。
→クジラからとれる鯨油についても調べてみよう。また、捕鯨問題についても調べてみよう。
・グアノは良質の肥料として採掘され、そこに巣穴を掘って繁殖していたフンボルトペンギンやケープペンギンは営巣場所を奪われて減少した。
→グアノとは、海鳥やコウモリやアザラシの糞などが長期間堆積して化石化したものであり、主に肥料として利用される。主要な産地は南米のチリ、ペルー、エクアドルやオセアニア諸国(ナウルなど)である。
「グアノ」の語は、ケチュア語の「糞」に由来するという。ちなみにケチュア語は、ボリビア、ペルー、エクアドル、チリ、コロンビア南部で話されている言語であり、ペルーとボリビアの公用語となっている。インカ帝国(1438年~1533年)の公用語でもあった。インカ(=皇帝)、アルパカ、コンドル、ピューマ、(ビーフジャーキーの)ジャーキー、(マテ茶の)マテ、インティ・ライミ(=太陽の祭り)はケチュア語である。
ナウル共和国はかつてリン鉱石の採掘で栄えた。ナウルのリン鉱石は、鳥の糞と死骸が混ざりあったグアノが島の土壌やサンゴ礁と混ざりあったことで時間の経過とともに形成されたという。
ナウル共和国について調べてみよう。
・ペンギンが漁網にかかる事故だけでなく、ペンギンの餌を人間がとってしまうという問題もある。南極のオキアミを人間が獲り過ぎると、それに依存して生活するクジラ類やペンギン類だけでなく、生物群集そのものを変質させてしまうおそれがある。
→漁業と動物の関係にまつわる問題にはどのようなものがあるか、考えてみよう。また、それら問題の解決・改善のためにどのような実践が行われているか、調べてみよう。
・近年ではどの国でも鳥類の捕獲を禁止・制限し、保護するようになった。
→乱獲防止や生物保護のための条約・法律にはどのようなものがあるか、調べてみよう。また、それら条約・法律の内容を確かめてみよう。
・ペンギン型キャラクターは、古くは、背が黒色、腹が白色であることから、タキシードまたは燕尾服を着用した紳士になぞらえられることが多かった。
→ペンギンのキャラクターといわれて、塾長がぱっと思いついたのはピングーとバッドばつ丸ですね。ポケモンのポッチャマもいますね。ドン・キホーテのドンペンや、名前が分からないけどSuicaのペンギンもいますね。
→ポケモンと関連させた面白い勉強・授業を作れそうだなぁ。
・有機化合物ペンギノンは、平面構造式がペンギンに似ていることから名づけられた。
→ペンギノンは、分子式 C10H14O(※本来、数字は小さく表記する)で表される有機化合物である。
→「ペンギノン」を検索して、構造式を見てみよう。
→ナノカーやナノプシャンなど、構造式が何かに似ているものについて調べてみよう。
・2006年にアメリカで同性愛ペンギンの絵本 “And Tango Makes Three” が出版された。アメリカのニューヨーク市セントラルパーク動物園に実在したオス同士のペンギンのカップルを題材にしている。同性同士のペアのペンギンはドイツの動物園や日本の登別マリンパークニクスなどで存在が確認できる。
→同性愛者が辿ってきた歴史について調べてみよう。また、同性愛者による社会運動についても調べてみよう。LGBTQ+についても調べてみよう。
・2008年にイギリスの放送局であるBBCはエイプリルフールの際に、ペンギンが空を飛ぶ様子を報じた。
→エイプリルフールとは、毎年4月1日には嘘をついても良いという風習である。フランスでは「ポアソンダブリル」(poisson d’avril)=「4月の魚」と呼ばれ、魚の形の菓子を食べたり、魚の形の紙をこっそり相手の背中に貼るいたずらをしたりするという。
→様々な神話や宗教における「嘘」の扱いについて調べて考えてみよう。旧約聖書における「カインとアベル」など。
→「嘘」の語源について調べてみよう。
・歩幅を小さくしてそろそろ歩く方法を「ペンギン歩き」と呼ぶ。これは、冬季の凍結路面で安全に歩く手法である。
→冬の北海道に来たときは「ペンギン歩き」で歩こう!特に、横断歩道では。
・集団で餌を求めて海に飛び込む際に、最初に飛び込むペンギンは「ファーストペンギン」と呼ばれる。転じて「リスクのある新分野に最初に挑戦する人」のことを指す。
→様々な分野のファーストペンギンについて調べてみよう。
→動物に由来する言葉を探して、その言葉で例文を作ってみよう。