噴火ってなに?火山ってなに?

 インドネシアのジャワ島にあるスメル火山で大規模な噴火が起こったそうですね。気象庁は日本沿岸での潮位変化を注視しているようです。

 今年1月にも南太平洋のトンガにあるフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイという火山が大噴火を起こし、日本の太平洋沿岸でも津波を観測しましたね。

 ということで今回は、火山と噴火について少し説明していきたいと思います。

 ※この記事は厳密性よりも分かりやすさに重点を置いたものです。ご注意ください。


噴火ってなに?火山ってなに?

 まず、地下に溜まっているマグマ(地下の岩石が高温によってどろどろに溶けたもの)が溶岩火山ガス火山灰火山弾などとして地上や水中に噴き出ることを「噴火」という。

 そして、その「噴火」によって作られた、つまり溶岩などが降り積もってできた地形を「火山」という。


  • 溶岩:マグマが地表に噴出したもの
  • 火山ガス:マグマから出た気体(ほぼ水蒸気)
  • 火山灰:直径2㎜以下の溶岩の破片
  • 火山弾:吹き飛ばされたマグマが空中で冷え固まったもの


噴火はなぜ起こる?地球の内部で何が起こってる?

 地球の表面は十数枚の「プレート」という岩盤によって覆われている。プレートの厚さは約100㎞もある。

 プレートは少しずつ動いていて、プレート同士はぶつかり合ったり、一方のプレートがもう一方のプレートの下にもぐり込んだりしている。

 この前提を踏まえた上で、噴火のメカニズムを簡単に説明していく。

 

①日本列島付近の地下深くでは、水分を多く含んだ海側のプレートが陸側のプレートの下にもぐり込んでいったときに、その水分によって地球内部のマントルという部分が溶けてマグマになると言われている。


 ②高温の液体であるマグマは周りの岩石(固体)よりも密度が小さく軽いため、浮力によって地表に向かって上昇していく。

 ※だいたいの液体は固体よりも体積が大きく、それゆえ密度が小さく軽い。

 ※ちなみに、4℃以上の水を温めると膨張して(=体積が大きくなって)密度が小さくなるため、温かい水は冷たい水よりも軽い。お風呂のお湯は、底(下)よりも水面付近(上)の方が熱い。


 ③上昇したマグマは地表からの深さ5~20kmの地下でとどまって「マグマだまり」を作る。そして、下から新たなマグマが上昇してくると、マグマだまりにあるマグマは押し出されて地表近くにまで上がってくる。


 ④やがて地表付近の地下にマグマがいっぱいになって、耐えきれなくなった岩盤が壊れて、マグマが地上にあふれ出てくる。

 

日本に活火山はどれくらいある?

 過去1万年の間に噴火したことがあったり、今も蒸気やガスを出して活発に活動している火山を「活火山」という。世界には活火山が約1500個あると言われるが、日本にはその約7%にあたる111個の活火山がある。日本は世界有数の火山大国だと言えるだろう。

 日本列島における活火山の分布については 気象庁|活火山とは (jma.go.jp) が見やすいです。


噴火の災害

 火山の噴火が引き起こす災害としては、大きな噴石火砕流溶岩流火山ガスなどによるものがある。

 ※火砕流:噴き出た固形物や気体が流れ下り、流域を焼失させたり埋没させたりする現象

 ※溶岩流:マグマが液体のまま地表へ流れ下り、流域を焼失させたり埋没させたりする現象


 近年の噴火災害の例としては、1991年(平成3年)に長崎県の雲仙普賢岳の噴火が引き起こした火砕流(死者・行方不明者43人)、2014年に長野県と岐阜県にまたがる御嶽山の噴火が引き起こした噴石(死者・行方不明者63人)などがある。


 ちなみに、鹿児島県の桜島は日常的に活発に活動していて、噴火することも多い。桜島周辺では頻繁に火山灰が降るため、車のフロントガラスやボンネットに火山灰が積もっている様子が報じられることも多い。


噴火の恩恵

 火山は災害を引き起こす一方で、我々人間に恩恵も与えている。

 例えば、風景。

 粘性の低い溶岩、すなわちサラサラな溶岩が流れ下ることによって裾野の広い雄大な景色が生まれ(富士山と富士山麓の景色など)、粘性の高い溶岩、すなわち粘り気のあるドロドロな溶岩が噴出して固まることによってできた高低差のある地形には大きな滝が形成される(御嶽山など)。こういった火山が生み出した景色は人々を魅了してやまない。



 例えば、温泉

 マグマなどの火山活動から生じた地熱は地下水を温め、温泉ができる。そのため温泉地は火山の近くに位置することが多い。上述の通り日本には火山が多いため、非常に多くの温泉が存在している。日本列島の人々は古くから温泉に親しんできて、温泉による恩恵は神話や伝説の中でも語られている。今でも温泉は観光の目的の代表格であり続けている。


 例えば、エネルギー。

 地熱は電気をも生み出す。地熱発電は、地熱由来の水蒸気の力でタービンを回すことによって電気を生み出すものなので、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出量が火力発電よりも少ない。また、地熱は枯渇するような燃料ではないと考えられている。そのため、地熱発電は環境保全とエネルギーの安定的な確保などの観点から注目されている。とはいえ、現時点で地熱発電はあまり多くのエネルギーを生み出せる発電方法ではないので、広く用いられているわけではない。

 ※「温室効果ガス」とは、太陽から地球に届く熱を大気中に閉じ込めて、地球を暖める働きをしているガスである。二酸化炭素やメタンなどが温室効果ガスである。



 例えば、土壌。

 サラサラな溶岩が流れ下ったり、山体が崩壊したり、火山灰が降り積もったりすることによって水はけの良い平野が生まれる。このような平野は長い年月を重ねて野菜の栽培に適した土地となる。