「氷雪気候」を勉強した⑷ 人の住めない土地アネクメーネ
氷雪気候
・氷雪気候は、ケッペンの気候区分上の①寒帯に属している。
・南極やグリーンランドの内陸部、シベリアの極北部、北米大陸の北岸、ヒマラヤやアルプスの高山に分布している。
・樹木の生育を許さない寒帯気候のうちでも特に寒さが厳しく,月の平均気温が一年中 0℃以上にならない。
・②永久凍土という土壌に特徴づけられる。
・一年間を通して氷と雪に閉ざされている。降雪量が降水量を上回りどんどん積雪が増していくことで、その積雪の圧力によって雪が氷となり、③氷河が形成される。
・南極圏(南緯66度33分以南)付近では④白夜が12月、⑤極夜が6月頃に起こる。北極圏(北緯66度33分以北)付近ではその真逆で、白夜が6月、極夜は12月に起こる。
・雪が降っていなくても頻繁に⑥ブリザードが起こる。
・植物が自生せず、人間も居住困難な気候(⑦アネクメーネ)である。
・アネクメーネであるとはいえ、各国の観測基地は設置されている(アメリカのマクマード基地やアムンゼン・スコット基地、ロシアのボストーク基地、日本の昭和基地など)。
・一部の地域には、ホッキョクグマ、ペンギン、アザラシなどの野生動物が生息している。
・近年の地球温暖化により南極や北極の氷床・氷河の融解が加速することで、氷雪気候下で生きる動物の生息環境が変化し、海面上昇が起こることも示されている。
⑦アネクメーネ(独:Anökumene 英:nonecumene)
・人類の永久的居住や経済活動が不可能であるか、または現に行われていない地域のこと。
・極地、高山、砂漠、海洋などがアネクメーネ(非居住地域)とされている。
→極地、高山、砂漠、海洋など各地帯について調べてみよう。
・次のような地域がアネクメーネとされる。
○南極大陸・グリーンランド内陸
理由:低温に対するヒトの生物学的限界(直接的影響)、低温ゆえに食糧が生産できない(間接的影響)。
○砂漠(中央アジア、アラビア半島、アフリカの一部地域、オーストラリア内陸)
理由:乾燥(直接的影響および間接的影響)。
→砂漠に人が住みにくい理由について考えてみよう。また、人が住んでいる砂漠地帯があるか調べてみよう。
○雪線以上の高山
理由:日照不足や気圧が低い。
→日照権について考えてみよう。
→気圧とは何か調べてみよう。
○熱帯の一部地域
理由:高温多湿(直接的影響)。
・アネクメーネの対義語はエクメーネ(独:Ökumene)である。エクメーネは「地球上で人間の常住する領域」である。「地球上で人間が常に居住し、経済活動を営み、また規則的な交通を行っている空間」という定義もある。
・エクメーネには、恒常的なエクメーネと一時的エクメーネがある。
・南極大陸はかつてはアネクメーネであったが、人間が観測基地などを設置するようになり、現在は一時的エクメーネとなっている。
→日本の昭和基地、ロシアのボストーク基地、アメリカのアムンゼン・スコット基地などの南極観測基地について調べてみよう。
→ロアール・アムンゼンとロバート・スコットという二人の人物について調べてみよう。
・エクメーネは地球の陸地面積の約88%を占めていて、アネクメーネとの境界は食糧生産限界とほぼ一致するという。
→食糧生産のできる地域について調べてみよう。
・エクメーネとアネクメーネの境界は、大きく水平限界と垂直限界に分けられる。水平限界はさらに対乾燥限界、対寒冷限界、対湿熱限界に分けられる。
→人間の基本的な生息環境について考えてみよう。調べてみよう。
・気候の変化による水平限界・垂直限界の変化、技術の進歩による居住地域の拡大、人口増加による他地域への移住・入植などによってエクメーネは拡大し、アネクメーネは縮小する。具体的には森林や低湿地、砂漠の開発などにより、アネクメーネがエクメーネに編入されてきた。
→「エクメーネの拡大・アネクメーネの縮小」という観点から、人類誕生から現代までの人類史について考えてみよう。特に、人類の移動、人類の分布の拡大について。
・地下資源の発見などにより、居住限界を超えて入植が行われてエクメーネが拡大することもある。
→極地や砂漠などのアネクメーネに存在する資源について調べてみよう。
→人間が必要とする資源について、人間が必要とする資源の変遷について考えてみよう。人間の暮らしの変化についても考えてみよう。
・大航海時代は、新大陸と旧大陸という別々のエクメーネが、単一のエクメーネとして結合する過程であったと言える。
→人類史上の出来事や時代を、エクメーネとアネクメーネの変化という観点から捉え直してみよう。